ご愛読ありがとうございました!

「永遠の一手」全12話が完結しました。読者の皆様に感謝申し上げます。

 12話分のネームができあがったのは昨年の11月でした。それからは松島さんの作画が主となり、連載が始まってからの私の役目は原稿のチェックになりました。
 この作品にはプロ棋士の監修を付けていません。誰かにお願いするかどうか沢編集長と相談した結果、「付けないでやりましょう!」ということになりました。題材が現在の電王戦を批判的に描いているため、賛同が得られないのではという懸念と、変に介入されても困るかなというこちら側の都合もありました。将棋の基本的なチェックを私が担うことになりました。
 とりあえずは、“永遠の一手”でリアルタイム検索をかけて、ツイートを眺めてみることにしました。

 監修を付けなかったという点では、最終局面で「でかなべ」さん(面識はありません)の「しかしプロ棋士の監修がもしあったらこんな大胆な発想の局面はできなかったと思う。」というツイートを読んで大変嬉しく思いました。

 少々驚いたこともありました。

 一つは「展開が(メチャクチャ)速い」という感想が多かったことです。本作は12話で構成されていますが、12話分という枠が最初から決められていたわけではなく、原作を展開していった結果、12話になりました。それがそのまま掲載されています。私としては過不足のない内容になっています。「速くて」「熱くて」「面白い」というコメントをたくさん頂き、本望です。

 もう一つは松島さんの画力に魅了されるファンの方々の熱気です。筆頭はなんといっても「ササナミ」さん(面識はありません)でしょうか。「ササナミ」さんのツイートが連載中の一つの楽しみになっていきました。

 松島先生の画に魅了された方々にエピソードを一つ。
 最終話の前日、飯田橋で打合せ兼打ち上げがあり、久し振りに松島さんに会いました(2回目です)。無口というわけではありませんが、寡黙なタイプで、優しさの感じられる(上から目線ですみませんが、私から見れば)好青年です。
 何かの拍子に、松島さんの原稿がギリギリになることがあるというような話題になりました。そのとき、彼は静かな口調で言いました。
「与えられた時間は全部使わないとダメなんじゃないかと思うんです…」
 格好良いですね。最後の最後まで作画に向き合う漫画家魂を感じました。