永遠の一手

将棋電王戦の憂鬱(4)

2013年の第2回将棋電王戦から、毎年この時期に感想を書き続けて5年になりました。今回で最後になると思います。 先ほど、NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か 2017」が放映されました。その中で佐藤天彦名人は次のように語りました。 「これで、自分が背負…

ツイッター検索の容易さ

沢さんが編集長を勇退したのをきっかけに、「永遠の一手」に関連する記事を毎日一つ、書いてきました。そろそろ他の業務に支障が出そうですので、ここでひとまず、筆を置きたいと思います。お読み頂いた皆様には御礼申し上げます。 最初に「永遠の一手」の書…

アルファ碁とディープ・ブルー

「機械が知性を持った」「歴史的な転換点」。 そう聞くと、アルファ碁のことだと思うかもしれません。しかし、そう報道されたのは、IBMのチェス専用スーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」が世界チャンピオンを破ったときでした。1997年5月、今から20年も…

囲碁とコンピュータ

今日は将棋ではなく、囲碁の状況について、書いておこうと思います。 アルファ碁の登場で、囲碁界もコンピュータソフトがあっという間にプロ棋士を追い越していきました。「突然」という印象を持った方も多かったかもしれません。ですが、それはあまり正確で…

史上5人目の中学生プロ棋士

最近の将棋の話題は、なんといっても藤井聡太四段ですね。昨日も勝って、連勝を26に伸ばしました。すごいですね。 中学生でプロになった(プロの資格を得た)棋士は過去に4人(加藤一二三、谷川浩治、羽生善治、渡辺明)しかいなくて、皆、記録や記憶に残る…

目を持ったコンピュータ − AIの本質

「永遠の一手」の第1話に出てくる将棋ロボット『詰め郎君』には「目」があります。盤面だけでなく、追い詰められていく羽内名人を冷徹に観察していきます。それには理由があります。 人工知能AIと聞くと、どんなイメージを抱くでしょうか?人間に取って代わ…

プロ棋士と将棋ソフトは協力できるか?

将棋にしても囲碁にしても、プロ棋士の実力を超えたコンピュータソフトの登場には賛否がありますね。肯定的な意見としては「将棋(あるいは囲碁)の可能性が広がる」というものです。 私はこの意見に懐疑的です。 6月12日のブログで書きましたが、アマ五段の…

天才の涙

かつて、芹沢博文という破天荒で天才肌の棋士がいました。私が知っているのは晩年のテレビタレントというイメージのプロ棋士でした。 何かの番組で芹沢の話になりました。若い頃はめっぽう強くて、二日酔いでも将棋を指せば勝ってしまうというほどで、当然、…

「序盤からボコボコにされた」というキーワード

「永遠の一手」の連載が始まってすぐに、将棋の常識としておかしいという指摘がいくつかありました。その一つに第1話の一郎のセリフがあります。「名人には終盤でボコボコにされた。 だけど、彗星には… 序盤からボコボコにされたんだ…」 将棋で「序盤からボ…

永遠の一手 書評の御礼

なかなか時間が取れなくてブログの更新もなかなできませんが、今月は「永遠の一手」を中心に少しでも書き留めておこうと思っています。 今日は、ブログで書評を書いて頂いた方々をご紹介して、御礼とさせて頂きたいと思います。・「豚か狼か」様 連載開始か…

編集長 沢考史

昨年の今日、6月9日、「永遠の一手」の連載が始まりました。大学入学時の同級生だった沢さんとの念願の一作でした。沢さんは先日、編集長を勇退し、異動となりましたので、直接編集を担当してもらうのは最初で最後の作品になりました。ギリギリ間に合ったと…

御礼: 千葉大学生協ブックセンター様

レジ横の柱にA1版のポスターを貼ってもらいました。 ありがとうございます。 ポスター 平積みの様子

御礼: 書泉グランデ様

沢さんから書泉グランデの様子が届きました。 ありがとうございます。 複製原画展示の様子 販売の様子

メインタイトル

1月12日の「将棋の監修について」の中で、メインタイトルについても少しふれました。松島さんが読んでくれて、次のような感想を届けてくれました。> 「永遠の一手」のタイトルは確か作画でいっぱいいっぱいだった時に・・・・ > 編集長「永遠の一手でどうで…

将棋の監修について

「永遠の一手」が発売されて1週間になりました。読者の皆様には感謝申し上げます。 以前にも書かせて頂きましたが、「永遠の一手」ではプロ棋士の監修を付けていません。それを気にされているご意見も散見されますので、今回はそのことについて書いておきた…

30年越しの夢の実現

「永遠の一手」は、3年越しの掲載となりましたが、30年越しの夢の実現でもありました。 私が沢さんと出会ったのは、30年以上前になります。大学入学の同期で、クラスメートでした。ここでは、同級生ということで、沢君と表記したいと思います。 今は違うかも…

3年越しの掲載

少年チャンピオン編集長の沢さんが興味を示してくれて、3年越しの掲載が実現しました。 時系列に沿って、沢さんとのやり取りを示しておきたいと思います。メールの文章は、挨拶文やプライベートな内容などは、適宜、省略しています。・2014年10月8日 原稿送…

ジャンプ or チャンピオン

「永遠の一手」の原案は、2013年に、核となる部分を400字詰め原稿用紙50枚にまとめて書き上げました。問題は、どうすれば発表できるか、でした。私は、このときまでに、主なもので3回、漫画原作の仕事をしてきました。すべて集英社です。 1986〜1990年(+19…

「名人に勝つことをめざす」ことと「実際に名人に勝つこと」の違い

将棋は礼に始まり、礼に終わります。「いくら悔しくても、『負けました』とはっきり言えなければ強くなれない」という言葉を聞くこともあります。2013年の「第2回将棋電王戦」。そこでも、プロ棋士は将棋ソフトに接続されたロボットアームに「負けました」と…

永遠の一手特別編

永遠の一手・特別編が終わりました。私自身は、現在思っていることを形に残せて、本当に嬉しく思っています。読者の皆様、作画の松島さん、担当の沢編集長に深く感謝申し上げます。 特別編が将棋の話と関係なくて、将棋を期待されていた方々にはすみません。…

単行本予定

私が発言してもよいのかどうかわかりませんが、秋田書店及び沢編集長の名誉を守るためにも一言申し上げておきたい。現在将棋界を揺るがせている案件と関係なく、9月の時点で、特別編の日程も決まっており、単行本の出版日も決まっています。まもなくアナウン…

松島先生のブログ

永遠の一手を題材にちょっとした講演を頼まれていて、ネット上で調べものをしていたら、偶然にも松島さんのブログを発見した。昨年の4月から始められているようである。私のブログもそれほど見られているわけではないけれど、松島さんのブログのカウンタが35…

ご愛読ありがとうございました!

「永遠の一手」全12話が完結しました。読者の皆様に感謝申し上げます。 12話分のネームができあがったのは昨年の11月でした。それからは松島さんの作画が主となり、連載が始まってからの私の役目は原稿のチェックになりました。 この作品にはプロ棋士の監修…

棋力と将棋歴

「永遠の一手」の連載が順調に進んでいて嬉しく思っている。この作品は、私自身にとっては特別の意味を持っている。「3年がかりの掲載」であり、「30年越しの夢」の実現にもなっているからである。このことについては、別の機会に記したい。 松島さんの作画…

永遠の一手 − 2030年、コンピューター将棋に挑む

毎年この時期、コンピュータと将棋について書いてきた。2013年にはちょっとした物語を書いて、ちょっとした公募に出し、落選した。 世間の風潮に一言申し上げたい気持ちは抑えがたく、その原稿を知り合いに送った。興味を持ってもらったのが、少年チャンピオ…