2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「京が示したスパコンの実力」(2012年11月19日初稿;11月21日改定稿掲載)

2012年11月期のスパコンランキング「TOP500」が発表になった。6月期1位のSequoia(IBM)、2位の京(富士通)がそれぞれ2位と3位に後退し、1位に立ったのは米国オークリッジ研究所に納入されたTitan(Cray)だった。Titanには、最新のGPU(グラフィックス・プ…

ノーベル賞続出でも改革し続ける教育行政:「Vision」はどこだ?(2012年10月25日初稿;11月5日改定稿掲載)

山中伸弥教授のノーベル賞受賞決定で、2000年以降の日本の受賞者は、現在は米国籍になっている南部陽一郎博士を含めて11人になった。列挙すると、次のようになる。 2000年 白川英樹(化学賞) 2001年 野依良治(化学賞) 2002年 小柴昌俊(物理学賞)、田中…

「宇宙月間に考える技術者の倫理〜大事故の背後に共通課題が見える」(2012年9月13日初稿;9月19日改定稿掲載)

9月12日は「宇宙の日」だ。この日から10月上旬の「世界宇宙週間」までの1カ月は「宇宙の日ふれあい月間」とされ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など関係機関で様々な催しが行われている。宇宙ファンにとっては楽しみな時期である。 宇宙開発には明るい未来を…

「インターネットの進展が人間の知的能力を劣化させる可能性」(2012年7月29日初稿;8月2日改定稿掲載)

ある講演会で、著名な科学者が「好奇心」について、次のように語っている。 「いまの世の中は、情報化時代というのだそうですけれど、非常に情報量が多い。われわれは、とにかくこの情報の波に巻き込まれてしまう。実際、私の専門の物理学においても、研究の…

「70年前に予測されたインターネット社会の爆発的発展」(2012年7月20日初稿;7月30日改定稿掲載)

インターネットの窓口の役割を果たすポータルサイト。その大手企業である米国ヤフー社の最高経営責任者(CEO)に、同分野でシェア1位に成長した米国グーグル社の元副社長マリッサ・メイヤーが就任した。グーグルの20番目の社員で女性技術者、しかも37歳とい…

「2位になった「京」の本当の評価」(2012年6月22日初稿;26日改定稿掲載)

2012年6月期のスパコンランキング「TOP500」が発表になった。米国IBMのSequoiaが1位になり、日本の「京」が2位に転落したと報じられた。転落というよりも、今も2位にランクインしていることは、称賛されるべきことである。 ただし、「京」の真価が問われるの…

「終わりなき制度改革が教育の現場をダメにする」(2012年6月2日初稿;7日改定稿掲載)

文部科学省は、6月に入り、高校を3年未満で卒業できる早期卒業制度の導入、国立大学の再編(読売新聞のニュースなので、適宜、変更して下さい)と、矢継ぎ早に制度改革を打ち出してきている。昨年来議論になっている大学の秋入学と同様、グローバル化への対…

「外村彰さんが示した日本企業の研究力」(2012年5月8日初稿;14日改定稿掲載)

日本の企業研究所の巨星の一人、外村彰博士(日立製作所フェロー)が先日他界した。ホログラフィー研究の先駆者の一人である。私自身もホログラフィーを研究しており、面識があるわけではないが、先達の功績を紹介し、追悼したい(以下では、敬称を略す。ご…