Scientific Reports

 私たちの研究グループのオリジナルである「複数の2次元情報を一つの立体に内包する技術」について,6月4日付でNature Publishing Group(NPG)の“Scientific Reports”に掲載されました.
http://www.nature.com/srep/2013/130604/srep01931/full/srep01931.html
# 編集部の手違いで,現在は動画を見ることができない状態になっています.
# 近く正誤表を出して,見られるようにするとのことです.

 この技術は,大学の知財部で調べてもらった結果,前例はなく,私自身はとても面白いと思っています.
 ただ,論文の掲載までに少々手間取りました.光やイメージングの専門誌に出してもなかなか通りませんでした.レフェリーコメントは「新規性は認めるし,動画も面白い」けれども「何の役に立つのかわからない」というものがほとんどでした.
 そこで,もう少し広い読者層をターゲットにしているということで,ダメ元で“Nature communications”に出してみることにしました.カバーレターには,正直に専門誌に出した際のコメントの状況を記し,幅広い読者層の雑誌に出した方が良いと判断したことを伝えました.
 “Nature communications”からの返事は不採択でしたが,“Scientific Reports”に出すことを勧められました.そこで,Nature Publishingの転送システムで,“Scientific Reports”に論文を送り,掲載に至りました.

 実はこのときまで,“Scientific Reports”を知りませんでした.Open Access Journalで著者が掲載料を払い,読者は自由に無料で読むことができるというものです.掲載の方針は,論理的に間違っていなければ掲載し,論文の価値は読者にゆだねるというものです.そのため,日々,たくさんの論文が掲載され,6月4日に掲載された私たちの論文も,すでにトップページにはありません.Open Access Journalは,PLOS oneというJournalが始めて大きな成功を収めているようです.“Scientific Reports”は,今年が3年目で,間もなく,初めてのインパクトファクタがつくとのことです.

 とにかく,論文が掲載されて安堵しています.私たちの研究グループでは,掲載が決まらない期間も,応用研究を進めていました.今後は,新技術として提示した本論文を足がかりに,精力的に研究成果を発表していきたいと思っています.
 自分たち以外は手を付けないような状況から始める研究は面白く,やりがいがあります.研究の主力は,30歳前後の若手研究者数名が担っています.10年後の評価を楽しみに,彼らと一緒に試行錯誤を続けていきたいと思っています.