囲碁とコンピュータ

 今日は将棋ではなく、囲碁の状況について、書いておこうと思います。

 アルファ碁の登場で、囲碁界もコンピュータソフトがあっという間にプロ棋士を追い越していきました。「突然」という印象を持った方も多かったかもしれません。ですが、それはあまり正確ではないように思います。

 アルファ碁が登場する前の2013年に、囲碁界でも、トッププロとコンピュータソフトが対局する「電聖戦」が始まりました。その第1回で、4子のハンデ戦ながら、囲碁ソフトが1勝をあげています。 そのことは2013年5月1日のブログでも次のように記しました。

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 もっとも手順が多く、コンピュータが人間のトッププロに勝つのは相当先になるといわれていた囲碁もあやしくなってきている。今年から始まった囲碁電聖戦では、4子のハンデ戦ながらも、囲碁ソフトが石田芳夫九段に勝っている。
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http://d.hatena.ne.jp/yayoi_2011/20130501/1367421092

 そして、今年3月に行われた第5回大会では、注目の若手棋士である一力遼七段に互先(ハンデなし)で囲碁ソフトが勝利しています。

 将棋の電王戦ほど騒がれませんでしたが、囲碁ソフトも着実に力をつけていました。アルファ碁はすごいですが、そこに至るまでの先人の道のりについても知っておくことは大切だと思います。

 そういう意味では、将棋ソフトに関しては、Ponanzaがすごいのはその通りですが、Bonanzaについても、もっと報道されてもよいのでは、と思ったりします。

 私の恩師である杉本先生(理論天文学)は、私が学生時代に、次のようなことを嘆いていました。
「研究の世界では、一番最初にやった人よりも、2番目にやった人の方が有名になることがよくある」

 これは研究に限ったことではありません。これはあの人(あの会社)の業績だと広く知れ渡っているものでも、よく調べてみると、真の先人が別に存在していたということは、意外とよくあります。

 電聖戦は、当初から「最低5年」開催するとされていて、5年を経過した今大会で幕を閉じました。
http://www.nihonkiin.or.jp/news/etc/vsai5.html