2016年度卒業式・修了式

 先週の3月23日(木)に学部の卒業式があり、24日(金)に大学院の修了式が行われた。卒業、修了の皆さん、おめでとうございます。

 30代の頃は、大学人の私にとって、研究が一番大事だった。研究成果を上げることや、現状よりももっと研究環境の良いところへの異動を希望していた。

 40代から50代になると、それが少しずつ変わってきた。教育に対するやりがいである。教育といっても授業ではない(私は授業が苦手である)。研究室に配属してきた学生に対する研究指導である。
 授業は理系といえども数十名から100名規模で行われる。語弊はあるが、顔の見えない教育である。一方、研究室での研究指導は個別であり、濃密なコミュニケーションのもとで行われる。ときには、人生を左右する決断を共有することもある。

 私は基本的におしゃべりである。見た感じ(のノリ)は軽い。大学人がそういう軽さを持ち合わせていることを良しとしない学生もいる。一方で、気軽に相談に来る学生も多い。ここで弁解する必要はないが、私自身は、見た目ほどものごとを軽く考えているわけではない。
 大学生・大学院生は社会に出る直前を研究室で過ごす。そこで過ごす時間は、おそらく、彼ら自身が考えているよりもずっと貴重な時間である。研究室を巣立っていくこの時期、たくましさを増した卒業生・修了生の姿を見送ることは、感慨深いものがある。

 私は、自分のホームページのトップページに学生の受賞を載せている。今年度は18件に及んだ。受賞は運によるところが大きい。これらの業績を支えているのは、この何倍にも及ぶ学生たちの活動である。受賞に至らなくても立派な研究成果をあげたものも多い。受賞した人もしなかった人も、この一覧を見て「ああ、こういう時代があったな」と振り返ってもらえればと思っている。

http://www.te.chiba-u.jp/~brains/itot/