NHKと「栄光なき天才たち」

 昨日の3月25日(土)、NHK-BS1で「“栄光なき天才たち”からの物語」が放映された。「栄光なき天才たち」第1巻・第2話『古橋廣之進』である。
http://www.te.chiba-u.jp/~brains/itot/work/genius/g1/furuhasi_top.htm

 原作を書いたのは1986年、30年前のことである。当時はまだ大学生だった私は、古橋さんに原作を送り、そして、一人で会いにいった。場所は、祖師谷の日本大学である。
 年表によると、当時、古橋さんは58歳で、日本水泳連盟の会長に就任された直後であった。逆に私は、まだ連載が始まる前の、全く無名の若造(24歳)であった。ご多忙の中、緊張気味の大学生相手に、古橋さんは気さくにいろいろな話をして下さった。
 南米遠征でアメーバ赤痢にかかってから、古橋さんは調子を落とした。これはアニメでも紹介されていた。その原因は、ホテルに置いてあったコップの水を飲んでしまったことだったそうだ。そういう体験をいろいろお伺いした。
 原作に関しては満足して頂いたが、一点だけ、修正を指摘された。1948年当時の競泳は9コースで行われ、もっともタイムの速い選手(古橋さん)は4コースではなく、5コースのスタート台に立ったとのことだった。
 それから数年は年賀状の返信を頂き、心配りに恐縮した思い出が残っている。

栄光なき天才たち」では、本編に解説記事をそえている。その最後の一文を次のように締めくくった。当時の思いをそのまま伝えたつもりである。

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古橋廣之進は、間違いなく水泳史上、最大級のスーパースターであった。そして、最も不運な、スーパースターであった。
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 NHKの放映では、その後の古橋さんも伝えられており、水泳一筋の人生が描き出されていた。大変感慨深い作品となっていた。制作に携わった皆様に感謝申し上げたい。
 5月の第2回「陸上編」も楽しみです!

http://www6.nhk.or.jp/anime/topics/detail.html?i=4419