ジャンプ or チャンピオン

 「永遠の一手」の原案は、2013年に、核となる部分を400字詰め原稿用紙50枚にまとめて書き上げました。問題は、どうすれば発表できるか、でした。私は、このときまでに、主なもので3回、漫画原作の仕事をしてきました。すべて集英社です。

 1986〜1990年(+1992年) 「栄光なき天才たち」(ヤングジャンプ
 1996〜1997年 「BRAINS 〜 コンピュータに賭けた男たち」(ビジネスジャンプ
 2004年 「樋口一葉」(ちびまる子ちゃんの満点人物伝シリーズ) 

 ところが、2013年にもなると、かつて担当して頂いた方々は、皆さん、すでに漫画編集部から他の部署に異動していて、直接のツテはなくなっていました。

 こういうときの王道は、コンテストに応募して、採用されることです。しかし、漫画の新人賞に応募するわけにもいきません。「ドラマかな?」と思いました。
 探してみると、科学技術振興機構JST)で「科学ドラマ大賞」というのを募集していました。JSTは研究者にとっては日常的に接している科学技術行政の組織です。科学ドラマということでテーマにも合っているように思いました。30ページという募集要項に合わせて書き直し、応募しました。2013年12月のことです。
 結果は…×でした。

 とりあえずは、このブログに上げておくことにしました(今は削除しています)。
 たまに読んでくれる人もいて、ネット上で感想を散見することができました。
http://d.hatena.ne.jp/yayoi_2011/20140322/1395506084

 ただ、やはり、何とかしたいという気持ちは引きずっていて、結局、2人に原稿を送ることにしました。

 一人は集英社のYさんで、「BRAINS」の担当をして頂いた人です。「BRAINS」は途中休載のままになってしまったという経緯があり、Yさんはその後も気にかけてくれていました。ただ、このときはすでに文芸部に異動になっていたため、漫画の話を進めるのは無理がありました。

 もう一人が、秋田書店の沢さんです。
 2014年10月8日に原稿を送り、その4日後には返信が届きました。

On 2014/10/12 12:16, Sawa wrote:
> 伊藤智義様
>
> お世話になっております。
>
> 原作、拝見いたしました。
> とても面白かったです!
>
> 3世代プラス名人のそれぞれのスタンスからの将棋愛と時代への挑戦。これを描
> くことで、進歩するコンピュータテクノロジーと人間の夢の距離感を計る。
>
> このテーマは今この時、大きな価値をもっていると思います。
>
> その他、たくさんの素晴らしい兆しを感じます。
> それぞれを、それぞれにカッコよく描けそう!
>
> 率直に言って、作品化してみたいと思いました。
>
> とは言え、いくつかご相談したいこともあり、可能であれば一度お食事でもしな
> がら打合せなどいかがでしょう。
> (これは、そもそもの念願でもあります!)
> 千葉方面どこであれ私がお伺いいたします。
>
> 勝手を申し上げて恐縮ですが、よろしければ10月23日以降の夜あたりでお時間い
> ただける日をお教え願えないでしょうか。
> もちろんお忙しいところとは承知しておりますので、この日以降であれば11月に
> 入るなどしても問題ありません。
>
> よろしくご検討いただけますと幸いです。
>
> ううむ。なんだかうれしいです。
> わくわくしてきました!