寺田寅彦

 寺田寅彦については、「栄光なき天才たち」第6巻の中で書いている。
http://brains.te.chiba-u.jp/~itot/work/genius/g6/terada.htm

 寺田は、夏目漱石の弟子、あるいはそれを超えた友人であり、寺田自身も文学史上に不朽の名を残しているが、本職の物理学においては、それにもまして重要な人物である。日本における複雑系科学の父ともいわれ、自然災害に見舞われている今日の日本においては、さらに重要性を増している。
 人柄に魅了されている理系研究者も多く、12月に行われる複雑系科学の国際シンポジウムでは、併設企画として、「身の回りの科学から震災まで: 寺田寅彦とサイエンスの今」と題する一般向けの市民講演会が催される。
http://www.y2003.phys.waseda.ac.jp/ISCS2011/publec/
 私は寺田の物理学を継承しているわけではないが、講演者の一人として声をかけて頂いた。寺田寅彦にみる科学者像について考察してみたいと思っている。

 寺田は、他界する一年前に、次の歌を詠んでいる。寺田寅彦の人物像が、31文字の中に凝縮されているようで、とても印象的である。

「Sukinamono Itigo Kohi Hana Bizin Futokorode site Utyu KenButu
                              1934.1.2
  (好きなもの いちご コーヒー 花 美人 懐手(ふところで)して 宇宙見物)」