「寺田寅彦」の市民講演会を終えて

 とりあえず、無事に講演会は終わりました。
 寺田寅彦は、近代史、科学史においても大変興味深い人物で、そういう紹介はできたかな、と思います。
 ただ、私自身は特に寺田寅彦と強い関わりがあるわけでもなく、随筆に精通しているわけでもありません。こういう講演会では、講演者は寺田寅彦に傾倒しているか大きな影響を受けている人という見方をされます。つい、私自身もそういう路線でものを語ってしまったような気がしていて、本当のファンの方々や聴講されていた皆さんには、少々、申し訳ない気持ちも残りました。

 今回は複雑系科学では著名な方々が主催されたもので、私自身は面識のない方々ばかりでしたが、大変勉強になりました。
 京都大学の近藤先生のご研究は、動物の縞模様のでき方についてでしたが、チューリングの式が応用されていることに驚きました。チューリングについては拙著「BRAINS」で取り上げていますが、初めて知りました。
 中央大学の松下先生は、複雑系科学の柱の一つであるフラクタルを一般の方々に向けて、熱く語っておられました。松下先生は、真に寺田寅彦に造詣が深く、例えば、寺田の随筆を英訳しておられるようです。
 神戸大学の石橋先生は、地震原発について、長く警鐘を鳴らしておられ、その一端をご紹介して頂きました。時間があれば、さらにいろいろとお話を伺ってみたいところでした。
 司会の内田さんは手際良く進行されておられました。私の家族がEテレ「スイエンサー」をよく見ていて、そこに登場する内田さんと一緒に仕事することを話すと、羨ましがられました。

 聴講して頂いた皆様、どうもありがとうございました。
 会を取りまとめておられました東大の佐野先生をはじめ、ご関係の皆様に御礼を申し上げます。

http://www.y2003.phys.waseda.ac.jp/ISCS2011/publec/2011/12/04/%E5%BE%A1%E7%A4%BC/