「楽して生きる」「楽しく生きる」

 年度の終わりになると、卒業していく学生との思い出が自然と浮かんでくる。
 1人の学生が1年ほど前に、こんなことを言った。
「ぼく、楽して生きていきたいんです」
 就職活動を直前に控えて、私が「希望の会社は?」と聞いた答えだった。
 ちょっと面食らったが、いろいろな話をした。
 基本的にはまじめな学生で、きちんと就職して、この4月から社会人になる。

 ふと、そんなことを思い出して、二つの言葉を並べて書いた。

・楽して生きる
・楽しく生きる

 一文字しか違わないのに、意味合いが全然違う。
「楽して生きる」ためには、環境的な要素が必要になりそうだ。受け身的である。
「楽しく生きる」ことは、主体的にできそうである。

 人生は楽しいことばかりではないけれども、前向きでありたい。
 今年の卒業生には、そんな言葉を贈りたいと思う。